2026年義務化の「就活セクハラ対策」と、若年層に選ばれる職場づくり
人手不足が続く中、採用活動に力を入れる中小企業が増えています。
一方で近年、就職活動やインターンシップ、転職活動の場面で起こる「就活セクハラ(求職者等に対するセクシュアルハラスメント)防止措置」が社会的課題として注目されています。
特に現在の若年層は、「働きやすさ」だけでなく、「安心して働けるか」「人として尊重されるか」を重視して企業を選ぶ傾向が強まっています。
採用活動そのものが、“企業姿勢を見られる場”になっていると言えるかもしれません。
就活セクハラとは?
就活セクハラとは、採用面接やインターンシップ、OB・OG訪問、オンライン面談などで、求職者に対して行われる性的な言動や不適切な対応を指します。
例えば、
・面接時の容姿・恋愛・結婚に関する質問
・採用を示唆した食事や飲酒への誘い
・SNSやチャットでの私的連絡
・インターンシップ中の性的言動
・オンライン面談時のハラスメント
など、採用活動の多様化に伴い、問題の形も変化しています。
企業側に悪意がなくても、「距離感の近さ」や「指導のつもり」が、求職者にとっては大きな不安につながるケースもあります。
「約3人に1人」が経験しているという実態
厚生労働省「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査」によると、2020~2022年度卒業者のうち、
インターンシップ中に「就活等セクハラ」を一度以上受けた人は30.1%、
インターンシップ以外の就職活動中では31.9%
という結果が公表されています。
実際に、大学等で学生の就職支援や若年層の相談対応に携わっていると、
「断ったら不利になるのではないか」
「相談したことで選考に影響しそう」
「転職活動だから我慢するしかないと思った」
という不安を抱えながら活動している人は少なくありません。
学生だけでなく、若年層の転職者もまた、“評価される立場”になりやすく、声を上げづらい状況に置かれやすいのが現実です。
若年層は「安心」と「成長」の両方を見ている
現在の若年層は、給与や条件だけで企業を選んでいるわけではありません。
- 安心して働けるか
- 人として尊重されるか
- 成長できる環境があるか
- 困った時に相談できるか
という点を重視する傾向が強まっています。
特にインターンシップは、企業が学生を評価する場であると同時に、
学生側が「この会社で働きたいか」を見極める場にもなっています。
また、若年層の転職活動でも、
「職場の雰囲気」「相談しやすさ」「ハラスメント対策」への関心は高まっています。
売り手市場の昨今では、「企業が選ぶ」だけでなく、
「求職者側が企業を選ぶ」という感覚が定着しつつあります。
だからこそ企業には、単なるハラスメント防止だけではなく、
「安心して働けそう」 「成長できそう」 「人を大切にしていそう」
と感じてもらえる制度や体制を整え、社内外へ適切に発信していくことが求められています。
これはリスク対策であると同時に、良い人材の採用・定着のための重要な経営課題でもあります。
2026年10月から企業対応が義務化
2026年10月からは、企業に対し「求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止措置」が義務化されます。
求められる主な内容は、
- 方針の明確化
- 相談窓口の整備
- 求職者への周知
- 発生時の適切な対応
- 再発防止措置
などです。
特に、インターン受入れや若手採用を積極的に行う企業では、“実際に相談しやすい仕組み”まで含めた整備が重要になります。
制度を整えていても、「相談しづらい」と感じられてしまえば、問題が表面化しないまま離職や企業不信につながることもあります。
採用活動は「企業文化」が見える場になっている
採用面接やインターンシップは、単なる選考の場ではありません。
学生や若年層の求職者は、
「どんな人が働いているか」 「安心して相談できそうか」 「ここで長く働けそうか」
という視点で、企業文化そのものを見ています。
特に中小企業では、採用担当者や現場社員との距離が近いからこそ、“会社の雰囲気”が求職者に伝わりやすい特徴があります。
だからこそ、ハラスメント対策を「義務だから行う」のではなく、“人を大切にする企業姿勢”として整備し、発信していくことが、これからの採用活動ではますます重要になっていくでしょう。
まとめ
就活セクハラ対策は、単なるトラブル防止ではありません。
若年層が安心して働ける環境を整え、「この会社なら大丈夫そうだ」と感じてもらえることは、採用力や定着率にも直結します。
特に、若年層は「安心」と「成長」の両方を重視する時代です。
制度だけを整えるのではなく、
- 相談しやすい空気があるか
- 人を尊重する文化があるか
- 安心して挑戦できる環境か
という“企業の姿勢”そのものが見られています。
2026年の義務化をきっかけとして、単なる対応にとどまらず、「若年層に選ばれる職場づくり」という視点で、前もって採用環境を見直していくことが、これからの中小企業には求められているのかもしれません。
