令和8年8月から育児休業給付の申請手続きが変わります

令和8年8月から、育児休業等給付の申請手続きが見直されます。 お知らせ
令和8年8月から、育児休業等給付の申請手続きが見直されます。

中小企業の人事担当者が押さえるべき実務ポイント

令和8年8月から、育児休業等給付の申請手続きが見直されます。この記事では、出生時育児休業給付の賃金申告方法の変更や出生後休業支援給付金・育児時短就業給付の手続き簡素化など、中小企業の人事担当者・経営者が押さえておきたい実務ポイントをわかりやすく解説します。

近年、育児と仕事を両立しながら働くことは、女性だけでなく男性にとっても当たり前の時代になってきました。
厚生労働省の「令和6年度雇用均等基本調査」では、女性の育児休業取得率は86.6%、男性は40.5%となり、男性の取得率は年々上昇しています。育児休業制度は、もはや一部の従業員だけが利用する制度ではなく、多くの企業にとって日常的な人事労務管理の一つとなっています。

今回の改正は給付内容を大きく変更するものではありませんが、給与計算や提出書類、社内の運用方法に影響する実務的な改正が含まれています。

特に中小企業では、人事・給与担当者が限られていることも多く、「制度は知っていたが申請方法が変わっていた」「提出書類が不足していた」といったことが起こりがちです。

今回の改正で押さえるべき3つのポイント

令和8年8月1日からの見直しでは、企業・従業員双方の手続き負担を軽減することが目的となっています。
主な変更点は次の3つです。

  • 出生時育児休業給付の賃金申告方法の変更
  • 出生後休業支援給付金の提出書類の簡素化
  • 育児時短就業給付の申請手続きの簡素化

どれも実務に関わる内容ですので、人事・給与担当者はぜひ確認しておきましょう。

出生時育児休業給付の賃金申告方法が変わります

これまでは、「出生時育児休業期間を対象として支払われた賃金」を申告していました。

令和8年8月1日以降に開始する出生時育児休業からは、

「出生時育児休業期間中に支払日のある賃金」、支払日ベースで賃金を申告する方式へ変更されます。

また、出生時育児休業(産後パパ育休)を分割して取得する場合は、その間の就労期間に支払日のある賃金も対象となります。

出生後休業支援給付金の提出書類が簡素化されます

母親が出生後休業支援給付金を申請する際の配偶者確認書類について、

母子健康手帳(出生済証明ページ)に配偶者の氏名・生年月日が記載されていれば、その写しを提出書類として利用できるようになります。

これまでよりも、住民票などの提出が不要となるケースが増えるため、従業員の負担軽減にもつながります。ただし、母子健康手帳だけでは確認できない場合には、住民票など追加書類の提出が求められることがあります。

育児時短就業給付の手続きも簡素化されます

育児時短就業給付についても、申請手続きが見直されます。

主な変更点は次のとおりです。

  • 同じ子について育児休業給付を受給している場合は、母子健康手帳等の再提出が不要
  • 一定条件を満たせば、育児休業開始前の賃金証明欄の一部記載を省略可能
  • フレックスタイム制・変形労働時間制・シフト制の週所定労働時間の計算方法を一部見直し
  • 新しい証明様式で時短開始日や週所定労働時間を確認できる
  • 一定の要件を満たす事業主では、確認書類との照合作業が省略できる場合がある

社会保険労務士からの実務アドバイス

今回の見直しの中でも、出生時育児休業給付では「いつ働いたか」ではなく「いつ給与を支払ったか」が重要になります。そのため、

  • 給与締日
  • 支払日
  • 育児休業取得期間
  • 分割取得した場合の勤務期間

これらを正確に管理することが重要になります。特に給与計算ソフトを利用している企業では、集計方法や帳票の内容を一度確認しておくことをおすすめします。

育児休業開始前の面談では、

「母子健康手帳の出生済証明ページをコピーして保管しておいてください。」

と案内しておくだけでも、後日の手続きがスムーズになります。従業員へのちょっとした声掛けが、企業側の事務負担軽減にもつながります。

また、シフト勤務やフレックスタイム制、変形労働時間制を採用している企業では、今回の改正による影響を受ける可能性があります。
育児短時間勤務制度の運用方法や週所定労働時間の算定方法を、この機会に見直しておくことをおすすめします。

人事担当者が今から準備しておきたい5つのこと

法改正への対応は、申請書類だけではありません。社内で運用できる体制を整えておくことが、スムーズな手続きにつながります。

✔ チェックリスト

□ 給与計算ソフトの設定を確認した

□ 人事担当者・給与担当者で改正内容を共有した

□ 育児休業取得予定者への案内資料を更新した

□ 時短勤務制度の運用方法を確認した

□ 就業規則や社内様式を最新の内容に見直した

このような準備を事前に行うことで、申請漏れや手続きの遅れを防ぐことができます。


両立支援等助成金もあわせて活用を検討しましょう

今回の制度改正をきっかけに、

  • 男性の育児休業取得促進
  • 育休取得者の業務代替体制の整備
  • 育児中の柔軟な働き方への対応

などを進める企業では、両立支援等助成金を活用できる可能性があります。
助成金を活用しながら制度整備を進めることで、働きやすい職場づくりと人材定着の両立が期待できます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 今回の改正は、すべての育児休業が対象ですか?

いいえ。出生時育児休業給付の賃金申告方法の変更は、令和8年8月1日以降に開始する出生時育児休業が対象です。一方、出生後休業支援給付金や育児時短就業給付は、提出書類や申請方法の簡素化が行われます。適用される制度や時期は、休業開始日や給付の種類によって異なるため、申請前に最新の取扱いを確認し、必要書類を準備しておくことをおすすめします。

Q2. 就業規則の変更は必要ですか?

今回の改正だけで必ず変更が必要になるわけではありません。
ただし、育児・介護休業法への対応や社内様式の見直しを行っていない企業は、この機会に就業規則や運用ルールを確認することをおすすめします。

Q3. 中小企業でも対応が必要ですか?

もちろんです。従業員数にかかわらず、育児休業等給付の申請を行う企業は改正内容を理解しておく必要があります。
特に人事担当者が一人しかいない企業では、事前準備が重要になります。

まとめ

育児休業制度は毎年のように見直しが行われていますが、今回の改正は単なる手続きの簡素化にとどまらず、企業が育児と仕事の両立を支援する体制を見直す良い機会でもあります。

制度を整え、適切に運用することは、従業員が安心して育児休業を取得・復職できる環境づくりにつながるだけでなく、採用力の向上や人材の定着、さらには男性を含めた誰もが働きやすい職場づくりにも大きく寄与します。

令和8年8月から始まる育児休業等給付の手続き見直しに向けては、給与計算や申請書類、社内フローなどを事前に確認し、円滑に対応できる体制を整えておくことが重要です。

法改正を「対応しなければならないもの」と捉えるのではなく、自社の制度や運用を見直し、従業員に選ばれ、長く活躍してもらえる職場づくりを進める契機として活用していただければと思います。社労士としても、制度対応だけでなく、実務に即した運用や職場環境づくりまでサポートしてまいります。

AC社会保険労務士事務所では、育児休業制度の運用支援、就業規則の見直し、育児休業給付の申請サポート、人事労務相談など、中小企業の皆さまを実務面からサポートしています。
制度改正への対応でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

産休・育休手続きパックもご用意しております


参考資料

・厚生労働省「令和8年8月1日から育児休業等給付の申請手続きを見直します」

・厚生労働省「出生後休業支援給付金の支給申請における配偶者の確認書類について」

・厚生労働省「令和6年度雇用均等基本調査結果」

・厚生労働省「2025(令和7)年度 両立支援等助成金のご案内」


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