R6年厚生労働省の雇用均等基本調査によると、男性の育休取得率は40.5%。11年連続で上昇し、前年差も大きく伸びています。
育休が「特別なこと」から「選べること」へ近づいてきた、そんな変化を感じます。
ポイント
- 男性の育休取得率:40.5%(上昇が続く)
- 女性の育休取得率:86.6%(高水準)
- ハラスメント対策は進む一方、カスハラ対策はまだ広がり途中…という傾向も見えてきます。
社労士の見解:次の課題は「取得率」より“運用の質”
取得率が上がるのは良い流れです。ここから大事になるのは、育休を取っても業務が滞らない仕組みを整えること。
現場でよく起きるのは、「休む人の穴埋め」がそのまま周囲の負担になるケースです。制度は前進しているのに、運用が追いつかないと、結果的に職場の空気が重くなってしまいます。
実際に、友人の会社でも産休や育児休業は以前より取りやすくなったものの、穴を埋めるための人員確保への理解が十分ではなく、残された人たちの負担が増えてしまっているそうです。
「できるだけ協力はしたい。でも会社が現場の状況を分かっていない気がして、なんだかもやっとする」――この声は、今いろいろな職場で聞こえてきます。
だからこそ、育休推進とセットで進めたいのが、次のような“地味だけど効く”整備です。
- 業務の棚卸し(属人業務の洗い出し)
- 手順書・引継ぎシートの標準化
- 休業前の面談(本人・上司・人事で段取り共有)
- 業務代替の考え方をルール化(誰が・何を・いつまで)
- 短期間でも回る体制づくり(分担・バックアップ・外注も含めて検討)
さらに、「応援している人が損をしない」工夫も大切です。繁忙期の増員、派遣や短時間人材の活用、代替対応への手当、評価の考え方の明確化など、支える側にしわ寄せがいかない設計があると、制度は本当に根づきます。
これからの動向:就活ハラ・カスハラ対策は“義務化”へ。準備は早めに
これから特に意識したいのが、就活ハラスメント(求職者等へのセクハラ)とカスタマーハラスメント(カスハラ)です。法改正により、企業に防止措置が求められ、施行日は「公布から1年6か月以内で政令で定める日」とされています。
そして審議会資料では、2026年10月1日施行とする案が示されており、この日程が有力視されています。
「まだ先」と思っていると、いざとなった時に整備が間に合いません。入念な準備が必要です。たとえば次の5つは、早めに着手しておくと安心です。
- 方針の明文化(何を許容しないか/会社としての姿勢)
- 相談窓口の整備(社内・外部どちらも含めて検討)
- 現場の初動ルール(対応フロー、エスカレーション基準)
- 記録の取り方(事実関係を残せる仕組み)
- 従業員のケア(メンタル面、休業・復職の支援)
“ルールを作って終わり”ではなく、実際に現場で使える形にしていくことがポイントです。
まとめ:合言葉は「休んでも回る」「現場が抱えない」
男性育休40.5%は、確かな前進です。これからは、
「取りやすい」→「休んでも回る」へ。
そしてハラスメント対策も、
「決めてある」→「現場が抱えない」へ。
制度を“形”にするだけでなく、運用まで整えることが、これからの職場づくりの要になります。

