従業員が自ら学ぶ時代へ|人材開発支援助成金「自発的職業能力開発訓練」の活用ポイント

人材育成に使える助成金 助成金
助成金を活用する際に重要なのは、単に制度を導入することではなく、 会社の人材育成の方針と結びつけることです。

従業員の自律的キャリア形成を支援する「自発的職業能力開発訓練」

人材不足が続く中、企業にとって「人材育成」はますます重要なテーマになっています。近年は、会社が一方的に研修を用意するだけでなく、従業員自身が主体的に学び、キャリアを築く「キャリア自律」が注目されています。

こうした取り組みを後押しする制度の一つが、厚生労働省の人材開発支援助成金です。
その中でも「自発的職業能力開発訓練」は、従業員が自ら希望して受講する教育訓練の費用を企業が支援した場合に、一定割合の助成が受けられる制度です。

今回はこの制度のポイントを、社会保険労務士・キャリアコンサルタントの視点からわかりやすくご紹介します。


自発的職業能力開発訓練とは

「自発的職業能力開発訓練」とは、従業員が主体的に受講する教育訓練を企業が支援する仕組みです。 例えば次のようなケースです。

・社員が資格取得講座を受講
・ITやDX分野の研修を自ら申し込む
・専門スキルを高める外部講座に参加

企業がこれらの訓練費用の一部を負担した場合、助成金の対象となる可能性があります。


助成率のイメージ(図解)

助成率は企業規模や要件によって変わりますが、基本的なイメージは次の通りです。

【訓練経費助成率】
企業負担   訓練費用の70%
助成金      〃  30%

さらに次の要件を満たすと助成率が加算される場合があります。

✔ 賃金を5%以上引き上げた場合
✔ 資格手当などの制度を整備した場合

助成金を活用することで、企業の人材育成投資を抑えながら、社員のスキル向上を支援できます。


訓練の主な要件

助成対象となる訓練にはいくつか条件があります。

・労働者が自発的に受講する訓練
・社外の教育機関で行われる訓練
・OFF-JT(業務外研修)
・1コース10時間以上
・受講率8割以上

以前は20時間以上が必要でしたが、現在は10時間以上に要件が緩和されています。


企業側の主な申請要件

助成金を活用するためには、企業側の制度整備も必要です。主なポイントは次の通りです。

・雇用保険適用事業所であること
・就業規則に「自発的職業能力開発経費負担制度」を定めること
・事業内職業能力開発計画を策定
・職業能力開発推進者を選任
・企業が訓練費用の2分の1以上を負担


申請の流れ(図解)

助成金の申請は、基本的に次の3ステップです。

STEP① 訓練計画を作成 →労働局へ「計画届」を提出

STEP② 従業員が教育訓練を受講

STEP③ 訓練終了後 →助成金の支給申請

ポイントは、訓練開始前に計画届を提出する必要があることです。


キャリアコンサルタントの視点

従業員のキャリア自律を企業が支える時代

近年、企業の人材育成の考え方は大きく変わりつつあります。
これまでは「会社が研修を用意し、従業員が受講する」という形が一般的でした。しかし現在は、従業員自身が主体的にキャリアを考え、学び続けることが求められる時代になっています。

キャリア相談の現場でも、若手社員を中心に

・自分のスキルを高めたい
・将来のキャリアのために学びたい

という声を多く聞くようになりました。

企業に求められているのは、従業員の学びやキャリア形成を支える環境づくりです。

自発的職業能力開発訓練は、従業員の主体的な学びを企業が支援する制度です。
この仕組みを活用することで、

・人材の定着
・働きがいの向上
・組織の成長

にもつながります。

助成金の活用は単なる資金支援ではなく、
「従業員のキャリア自律を企業がサポートする職場づくり」への第一歩とも言えるでしょう。

社会保険労務士として制度面の整備を支援するとともに、キャリアコンサルタントとしても、企業と働く人双方にとってより良いキャリア形成を支援していきたいと考えています。

参考:厚生労働省「人材開発支援助成金」

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