― 採用と定着、そして会社の成長につながる制度整備とは ―
近年、企業の労務相談で増えているのが、「採用がうまくいかない」「せっかく育てた人が定着しない」といった悩みです。その背景には、働く人のキャリア観やライフステージに対する意識の変化があります。
特に若い世代を中心に、仕事だけで人生を成り立たせるのではなく、ワークライフバランスと自身の成長の両立を大切にする傾向が強まっています。どのようなキャリアを描けるのか、人生の変化に会社がどう向き合ってくれるのかは、入社前から見られているポイントです。
ライフステージを無視したキャリア設計は続きません
育児、介護、病気の治療、学び直しなど、人生にはさまざまな節目があります。キャリアは一直線に積み上がるものではなく、ライフステージの変化と重なりながら形を変えていくものです。
にもかかわらず、「その時になったら考える」「個別に対応するしかない」という状態のままでは、従業員は将来を描きにくくなります。結果として、「ここでは長く働けないかもしれない」という不安が、離職や応募減少につながることも少なくありません。
採用・定着のカギは「制度として整っているか」
重要なのは、すべてを特別対応で受け止めることではありません。
キャリアやライフステージの変化にどう向き合うかを、ルールとして整えておくことです。
例えば、
- 育児・介護と仕事を両立するための基本的な考え方
- 病気療養時の休職や復職のルール
- 学び直しやキャリア形成をどう位置づけるのか
こうした点が制度や就業規則、運用ルールとして示されていることで、応募者にも在職者にも「この会社は人生を見据えてくれている」という安心感が生まれます。
制度整備は“守り”ではなく、会社の成長戦略
制度整備というと、「義務」「リスク対策」というイメージを持たれがちですが、それだけではありません。
人が安心して働き、成長できる環境は、結果的に会社の持続的な成長につながります。
離職が減り、経験が社内に蓄積される
育成にかけた時間が無駄にならない
企業としての姿勢が、次の採用につながる
これらはすべて、制度と運用を整えてきた企業が実感している変化です。
社労士としてお伝えしたいこと
社会保険労務士は、法律を当てはめるだけの存在ではありません。
企業の成長と、従業員一人ひとりのキャリア・ライフステージを現実的につなぐ仕組みを整える専門家です。
無理のない制度設計
今の規模に合った整え方
将来を見据えた一歩
何を優先的に整えるかを考えながら、それらを積み重ねることが、「選ばれる会社」への確かな土台になります。
キャリアとライフステージを支える制度整備は、未来への投資です。
今の職場環境が、従業員のこれからの人生と、会社の成長の両方を支えられているか。
この機会に、あらためて見直してみてはいかがでしょうか。
