注目!年金制度改正法案の概要

お知らせ

「年金制度の機能強化」に関する法改正の概要(令和6年法案)

ここ最近のニュースでも多く取り上げられている、年金等の法改正。社会保険労務士の中でも大きな話題となり、取り組みを強化しているところです。
現在の法案では、高齢化や働き方の多様化など、社会経済の変化に対応するため、公的年金制度の見直しが進められています。すべての人が安心して老後を迎えられるよう、働き方に中立で、多様なライフスタイルに対応できる制度づくりを目指しています。

実際にどのような点が変わるのか見てみましょう。

まず、短時間労働者への被用者保険(厚生年金等)の適用範囲が広がります。収入の条件が撤廃され、小規模企業や個人事業所の従業員も段階的に対象になります。また、労働者の負担軽減のため、保険料を事業主が多く負担した場合の支援制度も整備されます。

在職老齢年金制度も見直され、働きながら年金を受け取っている人について、年金の支給が一部停止される収入基準が月50万円から62万円に引き上げられます

遺族年金も男女の差をなくす方向で見直され、子どものいない若年配偶者(20~50代)にも原則5年間の給付が認められ、男性も新たに対象になります。さらに、収入要件の廃止や、子に関する受給条件の見直しも行われます。

厚生年金の保険料計算に使う報酬の上限額も引き上げられ、高収入者に応じた負担と将来の給付の充実が図られます(65万円→75万円へ段階的に引上げ)。

私的年金の面でも、個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入年齢が70歳未満に引き上げられ、企業年金の情報公開も進められます。

そのほか、子どもを持つ年金受給者への加算の見直しや、外国人労働者の脱退一時金制度の調整、経済情勢に応じた年金給付調整の継続など、様々な見直しが含まれています。

このように、今回の改正は多様な働き方や家族構成に対応し、すべての人の老後の安心を支える制度を目指したものです。一人一人の年金の仕組みが複雑化していく中で、企業自身も「選ばれる企業」になるためにも制度を理解し、労働環境を整えていく準備が迫られています。

参考資料 厚生労働省「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案の概要」

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