すべての労働者がより利用しやすく
働く人々のライフステージに応じた柔軟な働き方が求められる現代。中でも「仕事と介護の両立」は多くの人にとって切実な課題です。そんな中、介護休暇の制度が見直され、より多くの労働者が利用できるようになりました。
改正のポイント:雇用期間による除外規定の廃止
これまで、企業が労使協定を結ぶことで、以下のような労働者は介護休暇の対象外とすることが可能でした。
施行前の除外対象
- 週の所定労働日数が2日以下の労働者
- 雇用期間が継続して6カ月未満の労働者
しかし、2024年の法改正により、「雇用期間6カ月未満」の労働者も介護休暇を取得できるようになりました。
施行後の除外対象
- 週の所定労働日数が2日以下の労働者のみ
この変更により、入社して間もない労働者でも、家族の介護が必要な場合には介護休暇を取得できるようになったのです。
企業に求められる対応:労使協定・就業規則の見直し
これまで「6カ月未満は対象外」としていた企業は、今後この規定を就業規則や労使協定から削除する必要があります。
見直すべき主な項目:
- 介護休暇の取得要件
- 対象となる家族の定義
- 取得手続きや様式の明確化
また、介護を取り巻く状況は人それぞれ異なるため、社内での相談体制や柔軟な勤務制度(例:時短勤務やフレックス制度)との連動も検討が必要です。
テレワークの導入も努力義務に
もう一つの注目すべき改正ポイントとして、「介護のためのテレワーク導入」が企業の努力義務となりました。
努力義務とは?
「義務」とは異なり罰則はありませんが、企業はできる限りその実現に向けて環境を整備することが求められます。
たとえば:
- テレワーク勤務規程の整備
- IT機器の貸与やセキュリティ対策
- 勤怠管理の仕組みの見直し
テレワークが実現すれば、介護をしながらでも働き続けられる選択肢が増え、離職防止にもつながります。
実際に介護休暇が取れるまでの流れ(例)
- 介護が必要な家族ができたことを会社に申請
- 必要書類の提出
- 会社が休暇取得を認める
- 介護休暇を取得
※通常は年間で5日(対象家族が2人以上の場合は10日)まで取得可能です。
まとめ:介護と仕事の両立を制度で支える
今回の法改正により、短期間勤務者も介護休暇を取得できるようになり、より多様な働き方に対応できる体制が整ってきました。
一方で、企業には制度整備や社内意識の醸成が求められています。今後も「誰もが安心して働ける環境づくり」が加速していくことでしょう。